これほど、タイトルと内容のギャップがあった本を読んだのは初めてかもしれない。
最初、本屋さんでタイトルだけ見て、本書は、仕事も住む家もなく、生活にものすごく困窮している人たちに焦点をあてた内容なのかなーと思って買って読んだら、全然、違かった。
(タイトルだけ見たら、そう思いませんか??)
第1章 「中流化」から「下流化」へ
via:目次
第2章 階層化による消費者の分裂
第3章 団塊ジュニアの「下流化」は進む!
第4章 年収300万円では結婚できない!?
第5章 自分らしさを求めるのは「下流」である?
第6章 「下流」の男性はひきこもり、女性は歌って踊る
第7章 「下流」の性格、食生活、教育観
第8章 階層による居住地の固定化が起きている?
本書は、アンケート調査、インタビューをもとに、上流階級、中流階級、下流階級と3種類の特徴を、それぞれ年代別にわけて書いた内容です。
その各特徴に対しての著者の主張もさほどなく、すごく中立的な観点から書かれた内容だなーと思いました。
しかも、上流階級は、「中の上」「上」の人、中流階級は「中」、下流階級は「下」「中の下」と定義されており、そこに金銭的な定義もなく(だったような)、ものすごく抽象的だなーという印象が。
唯一これが著者の独自の主張かなーと思ったのは、「おわりに」の部分で、下流階級の固定化を防ぐ手段を述べているのですが、うまくいくかどうかわからないが確かに一理ある手段かなと思いました。
各階級の特徴を述べていて、特に興味深かったのは、「第8章 階層による居住地の固定化が起きている?」で、首都圏(主に東京都と神奈川ですが)地図を中心に歴史をさかのぼりつつ、どのようにして階級が分布していったのかという話があって、そこが一番おもしろかったです。
よく妻と一緒に遊びに行ったりすると、「ここら辺に住んでいる人たちは、金持ちだよ。」ってある特定の地域に行くと言ってくるのですが、「どうして、ここら辺に住んでいる人たちは金持ちなんだろう」と逆に疑問を感じてしまい、ずっと悶々とした気持ちが続いていたのですが、本書でその謎が解けました。
原因がわかったとき、ものすごくすっきりしました。
後、本書を通して、ずーと感じていたのが、アンケート調査そのものの有効性についてです。
つまり、「本当にそのアンケート調査やらインタビューやら基にして、ある階級の全体的な特徴の判断をしてしまっていいのだろうか?」ということです。
なぜ、そう思ったのかは、大学のゼミで、よく教授から「そのアンケート本当に役に立つの?」「調査結果を基に、判断していいの?」「どうなの?」とさんざん突っ込まれたことがあるからです。
アンケート自体の有効性もある程度検証しないと、信用できないし、判断も下せないというのが、おそらく教授の主張だったと認識しているのですが、確かに、安易に信じてしまうと、それが間違っていた場合、大変なことになるし、こうして他の人の本を読んでみると、教授の気持ちがよくわかるなと。
有効性まで検証を行うと莫大なコストがかかるので、そこまではできないと思うのですが、ちょっと注意して読む必要があるのかなーと思いました。
(多少、本書にも、有効性についての記述はあったのですが、ちょっとそこの主張が弱いかなと。)
著者も、その点について、「あとがき」で触れていました。
そもそも本書で紹介した私のアンケート調査は、サンプル数が少なく、統計学的有意性に乏しいことは認めざるを得ない。
via:あとがきより
ちなみに、冒頭で、下流階級かどうかチェックするのですが、見事、下流階級でした。
下流度チェックは、小飼さんのブログで紹介されています。
娑婆の流れは同じくしてしかももとの人にあらず
あと、続編らしきものがでているんですね。
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