2012/08/25

[本]そして殺人者は野に放たれる

読了
そして殺人者は野に放たれる (新潮文庫)
そして殺人者は野に放たれる (新潮文庫)
日垣 隆

序章 通り魔に子を殺された母の声を
第1章 覚醒剤使用中の殺人ゆえ刑を減軽す
第2章 迷走する「責任能力」認定
第3章 不起訴になった予告殺人
第4章 精神鑑定は思考停止である
第5章 二つの騒音殺人、死刑と不起訴の間
第6章 分裂病と犯罪の不幸な出合い
第7章 日本に異常な犯罪者はいない?
第8章 闇に消える暗殺とハイジャック
第9章 心身耗弱こそ諸悪の根源
第10章 判決に満悦した通り魔たち
第11章 刑法四〇条が削除された理由
第12章 日本は酔っ払い犯罪者天国である
第13章 もう一つの心神喪失規定「準強姦」
第14章 女性教祖「妄想」への断罪
第15章 家族殺しが無罪になる国
第16章 人格障害者という鬼門を剥ぐ
終章 古今東西「乱心」考
あとがき
文庫版あとがき
解説 斎藤 環

via:目次
感想を書く前に、一つだけいいたいことがあります。

今まで29年間まがいなりにも、色々な本を読んできましたが、ここまで一番つらく読み進めるのが困難なものはなかったです。

通勤途中でも、あまりにの描写に吐きそうになったり、文字に目も当てられなかった。
しかも、電車に乗るのが怖くなり、一人で家にいるのも怖くなってしまった。

amazonで買ったのですが、その時帯はなく、こう書かれていたそうです。

文庫化されてすぐに入手したのだが、すぐに書評できなかったのは、やはりオビにもある

本書は、愉快な書物ではありません。あまりにも深刻な事件が多すぎて、ご気分を害されることもあるでしょう。

via:書評 - そして殺人者は野に放たれる
確かにそうなりました。
だらだと読んでいたら一生読み終えなさそうな気がしたので、一気に読んでしまった。

独身の時に読んでいたらまた違ったと思うが、父親として今のタイミングでよかったと思った。

本書の争点となっているのは、刑法39条

1.心神喪失者の行為は、罰しない。
2.心身耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

via:刑法第39条
これによって数多くある凶悪犯罪が無罪ないし不起訴となってしまう事実にフォーカスをあてていく。

のみならず、どうしてこのようなことがおこってしまうのかその原因と諸外国の事情も踏まえて客観的に語ってくれる。

著者は法律家でもなければ精神科医でもないのに、よくここまで調べたなーっと脱帽してしまった。
本書は、2003年に発刊され、2006年に単行本化されたのだが、その3年間に何か変化が起きたのだろうか?

それは、解説の斎藤環が語ってくれる。

本書を元に刑法と犯罪について深く考える時間を持てたことに感謝したい。
が、心の弱い人には、インパクトが強すぎるので、オススメはしない。

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