2010/10/09

[本]ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ―ハイテク海洋動物学への招待

スゴ本

1章 カメが定温動物でトリが変温動物?
2章 浮かび上がるペンギンと落ちていくアザラシ
3章 研究を支えるハイテクとローテク
4章 アザラシは何のために潜るのか?
5章 ペンギンの潜水行動を左右するもの
6章 ペンギンはなぜ一列になって歩くのか?
7章 教科書のウソとホント

via:目次

はじめて新書で生物学の本を読みましたが、ここまで人を惹き付ける本があるのだろうか?と思うぐらい、スゴ本だった。

水中動物にデーターロガーと呼ばれる水中を撮影したり、加速度、速度を測ったりする計測器をつけて、アザラシやカメ、ペンギンの活動を調査する生物学正確にいうと、水中の博物学のテーマに扱った内容なのですが、すごい結果の連続でした。

すごく発見された結果を書きたいのですが、それを書いてしまうと本書を読んだ時の感動が薄れてしまうのでここでは伏せておきます。

著者のすごいところは、自分の研究の存在意義があるかどうかわからないし、人様の役に立つかどうかわからないとはっきり断定してしまっているところ。
研究者って、自分の研究意義をはっきり肯定してしまうと思っていたのですが、それを証拠に、著者の父親がかつてエネルギー効率が従来と比べてよくなるという理由からリチウムイオン電池の研究をしていたそうなのですが、結果的に、本来目指していた用途ではなく、ケータイの電池に使われてしまったことから、必ずしも、研究目的と結果が一致しないし、環境やエネルギー効率の面から見ると、とてもいいとはいえない物になってしまったことから、研究そのものに意義があると著者は語っています。

確かに、研究した結果、それが何かに、応用できるのかもしれません。
それは何かは、時がたたないとわからないものがあります。

さらに本書を通して、冒険家である、スコットとアムンゼンを知ったので、

「スコットの話は知っているよ」という人も、

via:書評 - ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ

82年生まれは知りませんでした。
(家内にさっき聞いたら、知らないと言っていたので。)

研究上どうしても野外調査をすることになるのだが、それを通して、自然に対する脅威を意地でも味わう事になるので、「自然に優しい」というフレーズに疑問を感じてしまうそうだ。

確かに、自然はとても怖い。何があるかわからない。だからこそ、経験した者としない者とでは、生活必需品が変わってくるのだろう。
(東京の若者と北海道の原野で生活している若者における生活必需品のアンケート結果が掲載されていました。)

また、寒い場所での用の足し方、過ごし方等実践的なノウハウも書かれているので、基礎知識として身につけておきたい。

本書は、[本]空気を読むな、本を読め。 小飼弾の頭が強くなる読書法の1冊にエントリーされています。


0 コメント:

コメントを投稿