2012/11/26

[本]石油 最後の1バレル

読了
石油 最後の1バレル
石油 最後の1バレル
ピーター・ターツァキアン

序章 変貌する石油
第1章 最後の鯨油ランプに火をともす―争いの幕開け
第2章 33%の優位性―なぜ人類は石油を選んだのか
第3章 車輪がまわらない―石油依存と各国の思惑
第4章 地球の果てへ―変化する経済とライフスタイル
第5章 技術という切符―テクノロジーに何ができるか
第6章 迫り来る足音―ブレークポイントへの対処法
第7章 新たなる黄金の時代―不確実な未来とその可能性

via:目次
最初、中身を見ずに、つまんねーだろうなーっと思っていたら、とんでもなかった。
これほどためになった本はなかなかない。

本書は、エネルギーを軸に歴史を振り返り、今のエネルギー問題について考察している一冊。

小中学校で勉強する網羅的かつ表面的な歴史とは違い、鯨油をエネルギー源として航海するところから入り、石炭、石油、原子力と変遷していく様を丁寧に描かれている。

せめて、高校の歴史もこういうのをやってくれよーっと読みながら切に願ってしまった。
そうすれば、なぜ、学校教育で歴史が重要なのか見えてくるからだ。

とても勉強になったのは、電球を開発したと言われているトーマス・エジソン

てっきり、トーマス・エジソンが一番最初に電球を発明したと思っていたのだが、そうではないようだ。
すでに、開発に着手している人がいて、後手だったようだ。
では、なぜ、最終的に、エジソンが競争に勝ったのだろうか?
本書ではずばりメディアの使い方がうまかったからだと書いてあった。

これは、appleが、iPodでmp3プレイヤー市場に乗り込んだ時と重なっているような気がしてならない。
当時、mp3プレイヤーも先行者がいたそうだが、結果的に、sonyのMDプレイヤー(懐かしい。)や他のMP3プレイヤーも撃破してiPhone発売まで、売り上げを独占してしまう。

マイクロソフトもappleが先行していたOS市場を駆逐して、圧倒的な地位を占めた前例がある。

facebookもmyspaceをシェアをあっという間に奪ってしまい、今や10億人規模のサイトにまでなっている。

改めて回りを見渡すとたくさんの事例がある。
おそらく、IT系以外にも適用できるケースは多々あると思う。

ここから言えることは、必ずしも先行して何かサービスやものを作る必要はなく、2番手もいいということ。
でも、必ず先行者とは違う何かを入れること。

ビジネス書として読んだつもりは全くなかったのに結果的に企業戦略論的観点から勉強になるところが多かった。

ちなみに、トーマスエジソンの作った電球は、ずっと勝ち続けたわけではなく、ウェスティングハウスに負けてしまったらしいが、2005年まで直流電源の電気がマンハッタンにあったのは知らなかった。

著者は、エネルギーサイクルは、音楽業界のレコード→CD→MD→なし→クラウド(「なし」、「クラウド」は、勝って胃に追加)のように急な変化は起こりえなく、長い年月をかけて変化すると言っている。

しかも、そのスパンは、エネルギーが変わるたびに長くなるそうだ。

従って、石油が枯渇する前に、スムーズに移行するとは考えられず、非常に厳しい時代がくると著者は言っていたが、今から想像すると、気分が暗くなってしまうので、誰かがきっとエネルギー革命を起こし、我々の電気事情をより安価に安心して移行することを祈るのみ。(と他人事で最後をしめる。)

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